京王線「東府中駅」北側の広大な米軍府中基地跡地(留保地及び米軍通信施設跡地)に、あなたは何ができると思いますか?
「大きなショッピングモールができるって聞いた!」
「ラグビーの聖地になるらしい!?」
——SNSや地域の井戸端会議で、こんな期待に満ちた声が飛び交っていました。
東京ドーム3個分(約15.6ヘクタール)もの広さを持つこの土地。
いまいち広さが伝わりづらいので例えると、「三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAY」と大体同じ大きさ。
いやそれでもわからんって感じですかね。府中駅直結の商業施設「ル・シーニュ」が1.10ヘクタールだそうで、約14個分のルシーニュが入ることを想像すれば結構な広さを実感いただけるのではないでしょうか・・・(笑)

そんな跡地の活用計画について府中市から発表がありましたが、なんと多くの人の予想とは異なるものでした・・・!
今回は、地域で話題になっていた「あの噂」の真相と、実際に何が建つのかを、皆さんにわかりやすくお伝えします!
最新計画の結論
まず最初にはっきりさせておきましょう。府中市が2025年6月に公表した『府中基地跡地留保地及び米軍通信施設跡地利用計画』の改定文書に記載された最新の利用計画には、大型商業施設も、ラグビー専用スタジアムも含まれていません。
実際に計画されているポイントを絞ってみると、大きく3つあります!
・希少猛禽類オオタカの生息地を守る自然保護エリア
・市民が利用できる広々とした公園
・老朽化した郷土の森総合体育館の移転・建て替え
「え、それだけ?」
と思った方、気持ちはよくわかります。では、何故このような計画が生まれたのでしょうか。
そもそも府中基地跡地ってどんな場所?
「府中基地跡地」といっても、具体的な場所や様子を知っている人は意外と少ないかもしれません。
京王線「東府中駅」からまっすぐ北へ歩いていくと、まず出迎えてくれるのが航空自衛隊府中基地。その更に先に北へ進むと、ぐるりと高いフェンスで囲まれた一角があり、外から眺めると都心近くとは思えないほど鬱蒼と木々が茂った光景が広がります。

ここが「府中基地跡地留保地」と呼ばれる場所で、フェンス越しに中を覗くと建物も見えたりします。なんかもう窓ガラスとか割れてるし、そのままお化け屋敷にしたら人気出そう。

府中市浅間町一丁目にある国有地で、敷地内には「国有地」の看板も立っていて、秘密めいた雰囲気が漂っています。

実はこの土地、もともと戦前は米軍基地が置かれていた場所で、長い間一般市民は立ち入ることができませんでした。昭和50年に米軍から返還された後、
1.航空自衛隊府中基地
2.府中の森公園・生涯学習センター
3.そして、今回の話題の中心となる「府中基地跡地留保地」
の3つに分割されています。

「留保地」とは“当分の間、用途を決めずに保留する”という意味。その名の通り、米軍から返還されて以降も長らく活用されないまま、今も広大な空き地として残っているのがこの場所なんです。
「大型商業施設」計画の噂はどこから?
実は、府中市が2020年に発表した土地利用計画の中には「商業施設等用地」という言葉が含まれていました。
さらにタイミング悪く(?)、多磨駅周辺で進んでいた大型商業施設の開発計画が白紙になったという出来事もありました。
他にも、「三井アウトレットパーク多摩南大沢」の定期借地契約が2025年までと期限付きであったこともあり、契約終了後の移転地はどこだ~みたいな話が噂に拍車をかけたのではないでしょうか。
「代わりに府中基地跡地にイオンモールやアウトレット、ららぽーが来るんじゃない?」って感じですかね。
なるほど、確かに「イオンモール府中の森」「ららぽーと府中の森」とかネーミング的にしっくりすぎる・・・(笑)
府中駅前ですら若干オーバーストアな感じなので、流石に厳しいだろうという感じですがね。まぁ実際に出来るかどうかは置いといて、そういう妄想するのって楽しいですよね~。私も府中駅前の商業施設に、次は何のテナントが新しく入るのかなぁとよく妄想してます(笑)
ちなみに多磨駅周辺に予定されている大型商業施設の開発計画について興味のある方は、こちらをご覧ください。

「ラグビー専用スタジアム」への熱い想い
府中市民なら誰もが知っている事実。それは、府中が日本屈指の「ラグビーのまち」だということ。
リーグワンで活躍する東芝ブレイブルーパス東京とサントリーサンゴリアス、この2つの強豪チームが本拠地を置いています。ラグビーファンにとって府中は特別な場所なんです。
ただ、残念ながら府中市内には大規模なラグビー専用スタジアムがありません。両チームは味の素スタジアム(調布市)や秩父宮ラグビー場(港区)を使っていて、「本当の地元」で試合ができる機会は限られています。
「この広大な基地跡地に、府中のラグビーチームのホームスタジアムを!」
スポーツファンからこんな声が上がったのも、ごく自然な流れだと思います。3〜5万人収容のスタジアムなら十分建設可能な敷地ですしね。
当初の計画では可能性があった
実際、2020年の計画では
- 住まい・暮らしゾーン
- 多様な活力創出ゾーン
- スポーツ・健康・文化ゾーン
という3つのエリア分けがされていました。

商業施設もスポーツ施設も、理論上は検討範囲内だったわけです。
だからこそ、多くの市民が「もしかしたら・・・!!!」と期待を抱いていたんですね。
すべてを変えた運命の出会い——オオタカの発見
2022年1月から2023年10月にかけて自然環境調査を実施し、2023年4月に行われた府中市に対する中間報告で、驚くべき発見がありました。なんと絶滅危惧種のオオタカが、この敷地内で営巣していたのです。
オオタカは翼を広げると1メートル以上にもなる美しい猛禽類で、環境省のレッドリスト(絶滅の危機に瀕している野生生物の種をリスト化したもの)にも記載されています。都市開発が進む東京都内で、このような希少種が繁殖している場所は極めて貴重ですよね。
このエリア、実はフクロウ、タヌキ、アナグマなど、計24種の希少動植物が生息しているそうです。いやもう動物園作れるんじゃないかって感じですね。
府中市は大きな決断を迫られました。経済発展を取るか、自然との共生を選ぶか・・・。
商業施設やスタジアムの夢は消えましたが、代わりに府中市の選択は「都市の中で希少生物と人間が共存する、先進的なまちづくり」という新しい価値を創出することに大きく舵を切ったのです。
実際に決まった開発計画の中身
それでは、具体的にどんな計画になったのか見ていきましょう。
土地を東西に分ける新レイアウト
新計画の最大の特徴は、留保地の真ん中に南北に走る幹線道路を新設し、土地を東西に分割すること。
【西側エリア】自然保護ゾーン
- オオタカをはじめとする希少な猛禽類の生息地として保全
- 基本的に人の立ち入りを制限
- 自然環境をできるだけそのまま維持
【東側エリア】公園・施設ゾーン
- 平和の森公園や生涯学習センターと連携した一体的な土地利用
- 市民が利用できるオープンスペース
- 新しい総合体育館を建設(多目的グラウンドなど)
- 大規模災害時における防災機能・避難場所としての利用

郷土の森総合体育館が移転!?
現在、府中本町駅近くの郷土の森にある市立総合体育館。実はこの施設、1971年(昭和46年)に建設されたもので、かなり老朽化が進んでいるため建て替えが必要な状況でした。
新計画では、この体育館を基地跡地の東側エリアに移転・新築します。
これによって
- アクセスが劇的に改善:東府中駅から徒歩圏内に
- 最新設備の体育館:老朽化した施設を一新
- 利用者の増加が期待:平日夜や休日の利用がしやすくなる
スタジアムではありませんが、市民がスポーツを楽しめる拠点が近くにできるのは大きなメリットですね。

今後の気になるスケジュール
具体的なスケジュールも発表されています。
完成まで約10年・・・!
希少な動物も多くいることから、開発はスケジュール通りに進まないこともありそうですね。気長に待ちましょう!
これからの府中の“新ランドマーク”に注目!
「ショッピングモールもスタジアムもなし」と肩を落とす人がいるかもしれません。
「いやいやもうこれ以上お店はいらないでしょ!」と思っていた人も多くいると思います。
賛否両論あるかもしれませんが、「開発か、保存か」という二者択一ではなく、「共存」という新しい豊かさを府中市が選んだ、非常に意義深い決断だと言えるでしょう。
私たちだけが楽しめる“特別な緑地”と市民が胸を張れる新体育館、自然と都市機能を両立したエリアに生まれ変わるって、結構ワクワクしませんか?
府中の未来は、ここからまた新しく動き出します!
今後の詳細な動向についても、当サイトで最新情報をどんどんお伝えしていきますので、ぜひまたチェックしにきてくださいね♪
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